江の島
 

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江の島

江の島の植物・カクレミノ

2017年12月08日 写真&文: 坪倉 兌雄

kakuremino1カクレミノの両性花(江の島大師の境内で撮影(2017/08/03)
カクレミノ(隠蓑)は暖地の沿海地に生える常緑の高木で雌雄同株、わが国では本州(千葉県南部以西、伊豆諸島)、四国、九州、沖縄に分布し、樹高は5~10㍍になります。江の島では参道わきや、広場、龍野ヶ岡自然の森、神社境内、江の島大師境内、海側樹林内などで見ることができます。樹皮は灰褐色でなめらか、皮目が点在します。
葉は革質で厚く互生し、卵形または倒卵形で、3脈が目立ちます。表面は光沢のある濃緑色、裏面は淡緑色を呈します。葉柄は2~12㌢で赤紫色、葉身は5~14㌢で全縁または2~3裂に、海側の林床内では切れ込みのある葉をもつ若木などをよく目にします。7~8月、枝先に球形の散形花序を1~数個だし、淡黄緑色の小さな5弁花を多数つけます。花柄の長さは5~7㌢、花序には両性花のみ、雄花のみ、両性花と雄花が混在するものがあり、雄花には両性花の下部に見られるような大きな子房はありません。
雄蕊は5本、花柱は5裂に。
kakuremino2両性花とその子房
kakuremino3両性花と雄花が混在
kakuremino4龍野ヶ丘自然の森にて
kakuremino53裂した葉
kakuremino6果実の先端の花柱は5裂に
果実は長さ7~9㍉の広楕円形の液果で先端に花柱が残り、10~11月には黒く熟して、中に長楕円形で長さ6~7㍉の種子が2~3個あります。カクレミノの樹液にふれると、体質によってはかぶれることもあるので注意が必要です。光沢のある緑色の葉をつけるカクレミノは、公園樹や庭木に、また器具材として用いられ、樹皮から採取した黄褐色の樹脂(黄漆)は、家具などの塗料に利用されます。名前の由来は、3深裂した葉を蓑(みの)に見立て、これを着ると姿を隠せることから、隠れ蓑(カクレミノ)になったという。 万葉集の巻第2―90に、衣通王(そとほりのおおきみ)の有名な歌があり、その長い後序の中に …皇后、紀伊国に遊び行きて、熊野の岬に到り、その処の御綱葉(みつながしは)を取りて還る… とありますが、この「御網葉」はカクレミノである、ともいわれています。