江の島
 

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江の島の植物・蔓性常緑木本≪フウトウカズラ(風藤葛)≫

2015年12月23日  (写真&文:坪倉 兌雄)
 
fuutoukazura 1穂状花序を垂らしたフウトウカズラ(雄花序) フウトウカズラ(風藤葛) Piper kadzura  コショウ科コショウ属 
つる性常緑低木
フウトウカズラはつる性常緑低木で雌雄異株。関東地方南部以西から四国、九州、沖縄に分布し、江の島では海側の林内や参道わき、龍野ヶ岡自然の森などで普通に見ることができます。つるは節から気根を出して斜面をはい、岩場や木にはい登り、また垂れ下がります。葉は互生して長さ6~12㌢の卵形または長卵形で先端はとがり、基部は浅いハート形、質はやや厚くて5脈が目立ちます。花期は5~6月で、葉と対生する位置に、長さ3~8㌢の細長い穂状花序を垂らします。花には花被がなく、黄色の苞に雄花では雄しべが3個、雌花では雌しべが1個つきます。果実は球形の液果で約5㍉の大きさになり、房状のままで12月から翌年の3月には熟して赤くなります。小笠原諸島には仲間のタイヨウフウトウカズラ(大葉風藤葛P. postelsianum)が自生していますが、いずれの果実も胡椒のような辛味はありません。文章> 
 fuutoukazura 2江の島裏参道にて  fuutoukazura 3木にはい登り実をつける(龍野ヶ岡自然の森にて)
fuutoukazura 4フウトウカズラの雌花序  fuutoukazura 5果実は房状のまま熟す  fuutoukazura 6果実は液果で約5㍉の大きさ
 名前の由来は崖や樹木に絡まって成長し、風が吹くと揺れ動くさまからフウトウカズラ(風(ふう)藤(とう)葛(かずら))と呼ばれ、藤葛は蔓草を意味します。香辛料に使用される胡椒は、フウトウカズラと同じコショウ科コショウ属のコショウ(P. nigrum)の果実を原料としたものです。このコショウはフウトウカズラと同じつる性の常緑低木で、原産地はインドの南部地方とされ、熱帯植物であるために、温度管理などを考えると、わが国での生育は非常に厳しく、国内では栽培はされていません。コショウの果実は豌豆大の液果で赤く熟しますが、この実を加工して香辛料とします。強い辛味と香りは調味料として、また漢方では古くから風邪薬や胃薬などに用いられてきました。我が国の胡椒の記録は、聖武天皇77回忌(756)に、宮中から東大寺に収められた献納目録の「種種薬帳(しゅじゅやくちょう)」に記載があるとされ、日本に渡来したのはそれ以前と考えられています。