江の島
 

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江の島

江の島の植物・クリ(栗) 

2018年10月11日 写真&文: 坪倉 兌雄
kuri1サムエル・コッキング苑にて(撮影・2006年5月)
クリ(Castanea crenta)はブナ科の落葉高木で雌雄同株、北海道、本州、四国、九州に分布します。江の島にはサムエル・コッキング苑に1本あり、数年前から観察をしていましたが、近年、樹勢が衰え本年の5月に訪れた時にはすでに切り倒され、その跡地付近に新しいクリの苗木が数本植えられていました。
クリは別名をシバグリとも呼ばれ、山地に生え、樹高は15~17㍍になり、樹皮は灰褐色で縦筋状に裂けます。葉は互生して長さは7~15㌢、幅3~4㌢の狭長楕円形で縁に針状の鋸歯があり、基部は円形で先端は鋭く尖ります。花期は5~6月、新枝の葉腋から10~15㌢の尾状花序を上向きにだし、基部に雌花がつき、先端にむかう大部分は雄花が占め、強い香りを放ちます。花序の基部についた総苞は球形で表面は緑色、先が尖った柔らかい鱗片状になります。この中に雌花(子房)が3つあります。花柱は針状に伸びて長さはおよそ3㍉になり、総苞の外にでます。
kuri2雄花は尾状の花序を上向きにつける
kuri3雌花は花序の基部につく緑色の総苞の中に
kuri4樹皮は灰色で葉は長楕円状
kuri5殻斗
kuri6熟した堅果
一方、先端に向かう白色の長い花序の大部分は雄花で、花被からとびだした雄しべが目立ちます。受精すると雄花序は離脱します。そして総苞はさらに生長し、表面の鱗片は細い「いが」になります。実りの秋、殻斗は4つに割れて中から褐色に熟した形の異なる堅果が2~3個でてきます。名前は「黒実」の転などの説があります。実は食用になり、樹皮や葉は薬用に、材は堅固で建築や家具材に用いられます。縄文時代にはすでに実は食料に、材は各種の工芸品に使われていたことが、遺跡などの調査で明らかになっています。クリは万葉集に3首登場しますが、ここでは有名な山上憶良の一首を紹介します。
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