続・湘南のお地蔵さま-1『勝上巘地蔵』
2017年1月4日 (記事:江ノ電沿線新聞1月号)
『勝上巘地蔵(しょうじょうけんじぞう)』 鎌倉市 山ノ内 中島淳一
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北鎌倉駅を降り、臨済宗建長寺派大本山の建長寺に向かう。 総門をくぐると、大きな木造建築が次々と私たちを迎える。 まず三門(三解脱門)、次に当寺本尊地蔵菩薩坐像を安置する 仏殿、さらに大きな法堂と続く。鎌倉五山第一位の威厳と風格を 感じる(三門以下すべて国の重要文化財)。 その先の、近年修理を終えた美しい唐門左手より境内奥へ 進むと、道は石段となり、息を切らして百八十段程登ると頭上に 異様な気配を感じる。 奇妙な姿の大天狗や烏天狗たちが出迎えてくれる。ここからが、 建長寺の鎮守半僧坊(半僧坊大権現)である。さらに六十段程 で社殿となるが、このあたりからの眺めは素晴らしく、天気が良 ければ富士山もきれいに見え、ここが建長寺境内であることに 何となく違和感を覚える。 社殿に向かって右手奥を見ると小さなお堂があり、鎌倉二十四 地蔵第十一番札所の勝上巘地蔵をまつる。全身金色で、右手に 錫杖、左手に宝珠を持ち、円光背を伴って岩座上に立つ。その 名前は、建長寺裏山の霊峰「勝上巘」に由来する。この山は、 瑞泉寺などへ続く天園ハイキングコース、建長寺口の出発地である。
この半僧坊では、まるで縄張りを主張するかのように羽根を ひろげる烏天狗たちの姿に、お地蔵さまも少し肩身の狭い思いを しているような気がする。

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※江ノ電沿線新聞2017年1月号掲載コラムをえのぽに転載しました。 江ノ電沿線新聞社のホームページ⇒ こちらから
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