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趣 味・歴史

 続・湘南のお地蔵さま-5 『石のマリア地蔵』 

2017年5月3日  (記事:江ノ電沿線新聞5月号)

『石のマリア地蔵』 大磯町 大磯  中島淳一

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 大磯駅の改札を出ると快い潮の香りが漂い、なぜか懐かしい駅に降り立ったような気がする。  その駅前には、緑の樹々に囲まれた小高い丘があり、故澤田美喜夫人が創始した児童養護施設エリザベス・サンダース・ホームがある。同じ丘の上に、夫人の生前の遺志により建設された澤田美喜記念館があり、熱心なクリスチャンだった夫人が生前蒐集(しゅうしゅう)した隠れキリシタン関係の貴重な資料が数多く展示されている。  
 170503 ooisoその中には、キリシタン弾圧の嵐を逃れるため、仏像の姿を隠れ蓑に、キリスト教を信仰した人々の遺品も展示されているが、その中に今回紹介する石のマリア地蔵がある。  唇と額中央に紅をさし、上品な面差しで合掌する、丸みを帯びた女性らしい体型のお地蔵さまで、背面には大きな十字が刻まれ、隠れキリシタンの遺品であることがわかる。 小さな像ではあるが、その前に跪き命を代償に信仰を貫いた人々のことを思うと、宗教の壁を越えて、慈悲の心ですべての人々を救おうとするマリア地蔵の強い思いが、十字架を背負うキリストの姿と重なった。 (澤田美喜記念館所蔵)

 

※江ノ電沿線新聞2017年5月号掲載コラムをえのぽに転載しました。 

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