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趣 味・歴史

 続・湘南のお地蔵さま-7 『あごなし地蔵』 

2017年7月8日(記事:江ノ電沿線新聞7月号)

 170708 agonasiバスで茅ヶ崎駅北口を出て鶴嶺小学校前で降りる。少し戻って鶴嶺八幡宮の参道を進むと、社殿前の樹齢約九五〇年といわれる大銀杏の幹の太さに驚く。
 社殿東側には鶴嶺八幡宮との関係も深かった名刹曹洞宗龍前院の参道があり、その本堂手前左側に二体のお地蔵さまが祀られ、向かって左側が今回紹介するあごなし地蔵である。
 私も初めて耳にする名前だが、調べるうちに、平安時代の学者で歌人(小倉百人一首にも歌あり)の小野篁(おののたかむら)に由来することがわかった。
 小野篁は、遣唐副使に任ぜられたが、同行する大使と対立したことが原因で隠岐島に流された。そこで阿古那という娘と恋に落ちたが、その母が歯痛で苦しんでいるのを知り、自ら地蔵を彫って念じたところ歯痛は治ったという。その像は阿古那地蔵と呼ばれたが、いつしか「阿古那」が「あごなし」となり、歯痛など口に関する病を治す地蔵として、その信仰が全国的に広まったようである。
 龍前院のあごなし地蔵は右手に錫杖左手に宝珠を持ち、天保十四(一八四三)年に建立され、今も信仰されているという。
 その光背に刻まれる「口中一切除病」の文字に、最近冷たいものが歯にしみる私としては、心込めつつ「南無地蔵」と手を合わせたことは言うまでもない。

                                                tigasaki

  ※江ノ電沿線新聞2017年7月号掲載コラムをえのぽに転載しました。
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