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趣 味・歴史

「現代版画の可能性」展(茅ヶ崎市美術館)

2019年1月9日  (itazu)
茅ヶ崎市美術館では開館20周年を記念して「版の美」シリーズが特集されているが、今回はその3弾、当館コレクションの木版画作品(戦後~現代)を中心に展示中である。
会期は2018年12月9日~2019年2月3日。
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日本版画会の創立に貢献しつづけた馬淵聖(とおる)、木口木版画家の柄澤齊(ひとし) 等の作品に加え、特別展示としてシルクスクリーンの手法を用いた小野耕石(こうせき)の作品が展示されている。


今回の展示の中で、圧巻なのは、特別展示の小野耕石(注1)の作品「波絵」(下記写真)。


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シルクスクリーンによる編成版画(注2)の手法を用いながら数十回~百回と版を塗り重ねる手法で、版画の概念を覆す5メートルを超える大作。
上空から見下ろす田んぼや畑の色彩の美しさ、作品同士の継ぎ目には畦道の彼岸花の名残り等がイメージされ、自然と人間の関係を、版を介したイリュージョンで表現している。
 (小野耕石ブログkohttp://www.onokouseki.com/参照)

(注1)小野耕石は、1979年岡山県倉敷市生まれ、東京藝術大学修士課程油画専攻版画科修了。
(注2)編成版画:版画作品を床面に構成しなおし組み合わせる。視点の角度や動きを加えることで描かれた点の表情に従って色彩の 移り変わりを誘発する小野独自の表現方式 

一方、日本の現代版画の代表する一人である、馬淵聖(とおる)(1920~1994年)の作品(下記)は、ジョルジュ ブラックなどの静物画を想起させる深みのある色彩とともに、画面構成、関係が生き生きとして豊かな世界が広がる

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馬渕聖 《無花果》 木口木版・紙 1962年
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解説によれば「色版を何度も重ねることで色彩の奥行きをだそうとすることで油彩画に負けない版画作品を作りたいという強い意志」が作者にあったという。

この他にも、ポスターにもある木口木版画家の柄澤の作品や童画家 武井武雄が主宰した「榛(はん)の会」の版画による年賀状などが展示されている。

版の美は、浮世絵以来世界に発信してきた日本の芸術であり、版に託して人間の手を超える創造性を楽しむアーティスト達が紹介され、前回の小原古邨展など新しい発見もあり、充実したシリーズ企画である。

尚、当美術館の版の美シリーズの次回は「創作版画の系譜」2019年2/10(日)~3/24(日)

が予定されている。

http://www.chigasaki-museum.jp/

開館20周年記念-版の美―板にのせられたメッセージ

版の美Ⅰ-「浮世絵・新版画-幕末~昭和」2018年4/8(日)~ 5/13(日)

版の美Ⅱ-「原安三郎コレクション 小原古邨展 -花と鳥のエデン-」2018年9/9 (日)~ 11/4(日)  

版の美Ⅲ-「現代版画の可能性」2018年12月/9 (日)~2019年2/3(日)       

版の美Ⅳ-「創作版画の系譜」2019年2/10(日)~3/24(日)

 
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