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趣 味・歴史

江島「八臂弁財天坐像」国指定重要文化財に

2019年6月27日  (itazu)
日本三大弁才天の一つである江島神社の「八臂(はっぴ)弁才天坐像」が、2019年3月に国指定重要文化財に
指定された。6月19日(水)、これを記念して講演会が江島神社で開催された。
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藤沢市の彫像の国指定重要文化財は、唯一、養命寺の薬師如来坐像でしたが、新たに「八臂弁才天像」が加わることになった。
記念公演は、次のお二人の講師による講演。
◆「新指定重要文化財、八臂弁才天坐像とその周辺」
〈講師=県立歴史博物館館長薄井和男氏〉
◆「藤沢市内の弁才天」
〈講師=元藤沢市文書館館長中島淳一氏〉
 
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江島神社の奉安殿には、二つの弁才天が祀られています。
今回国指定重要文化財に指定された「八臂弁才天」と、「裸弁才天」ともいわれ琵琶を抱えた全裸体の「妙音弁才天」です。
前半の県立歴史博物館の薄井館長のお話は、八臂弁才天について、
後半の中島氏は妙音弁才天を中心とした藤沢市(特に島内)の弁才天諸像の紹介でした。
 
3<八臂弁才天>                                   < 妙音弁才天>
 
前半の薄井氏講演:<八臂弁才天>について

・弁才天は仏教の護法神で吉祥天と並ぶ代表的女神。
・江戸時代以降、財福信仰と結びつき「弁財天」と書くようになった。
・八臂(腕)と二臂(腕)とがあり、二臂は琵琶弁財天のように音楽神としての性格が強い。
・八臂は、八本の腕(臂)が、それぞれに鉾・輪・弓・宝珠、剣、鉤(かぎ)・棒、矢を持ち、頭上には、宇賀神(うがじん)(蛇身の老人姿の穀物神)を頂く宇賀弁才天の姿をしている。
・奈良時代の弁才天は、持ち物が武器を主体とした武神の性格を持っていたが、鎌倉時代以降は、宇賀神と結びついて福徳の神に変化している。
・江島の八臂弁才天は、福徳の神としての宇賀弁才天に変化した初めの頃の作例で、端正で引き締まった顔立ちや深く自然に乱れる袖の衣文などに運慶派の特徴が現れており、1230年代に幕府や御家人の関与を得て同派の仏師により作られたと推定されている。
・宇賀弁才天の最古の遺品であり、また鎌倉時代女神像の優れた作品としても注目されている。
4<修復前(左)修復後(右)>             <頭部の宇賀神>
後半の中島氏の講演では、
 1983年~1991年に調査された藤沢の市内、特に江の島内の貴重な文化財の資料から弁才天像の主だったものを紹介された。
5<妙音弁才天>
江島神社の岩や本宮のご神体であったと伝えられており、裸弁才天ともいわれ、半跏(立膝姿)裸形で、音楽神としての一面が注目され、歌舞音曲の女神として信仰を集めている。像高78cm(室町時代初期)
その他 下記のような弁才天の紹介があった。
・岩本楼:木造八臂弁才天坐像(江戸時代)像高55.4cm   
・個人蔵:木造弁才天三尊像及び十五童子像(室町時代後期)各像高5~6cm
・個人蔵:木造八臂弁才天坐像(江戸時代後期)像高13.8cm       
・定光寺:木造八臂弁才天坐像(江戸時代)像高15.7cm
江島は古来弁才天の霊地として著名であるが、その信仰の深さを、今回の講演の数々の弁才天像の話を通して、改めて知る良い機会となった。
 
6(写真左)弁才天が祀られている江島神社の奉安殿 (写真右)参道の商店街には、今回の国指定重要文化財の指定を祝う幟が並んでいる。
 
 
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。   markenopo 2019年6月26日