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趣 味・歴史

湘南のお地蔵さま『和田地蔵』

2019年12月5日  (記事:江ノ電沿線新聞12月号)
『和田地蔵』横須賀市 鴨居  中島淳一
191205 wadajizou2『和田地蔵』   
 京浜急行浦賀駅から観音崎行きのバスで八分程の「鴨居」で降りると、小さな漁港越しに美しい海の青が眼前に広がる。幼い頃のあの懐かしい風景である。今来た道を少し戻ると左手に浄土宗西徳寺がある。境内には樹齢四百年を超えるイヌマキとビャクシンの古木があり、この寺の長い歴史を今に伝える。西徳寺は永禄三年(一五六〇)にいくつかの寺が宗派を超え併合したと伝わるが、境内には新築の立派なお堂があり石の和田地蔵が祀られる。右手に錫杖左手に宝珠を持ち、光背を伴い蓮台にのる。顔立ちは潮風のためかはっきりしないが、袖や衣文の表現は見事である。この地蔵には三浦一族の一人で、鎌倉幕府の有力な御家人和田義盛にまつわる命名の由来が縁起として寺に伝わる。義盛が出陣に際し、この地蔵を寺の前の川に沈め、戦いに勝てるなら川上へ、敗れるなら川下へ流れるよ占ったところ川上へ流れたので、地蔵を引き上げお堂を建て丁重に祀ったという。この西徳寺本堂には木造の地蔵尊も祀られ、三浦半島を代表する地蔵信仰の霊地「三浦地蔵尊三十八霊場」のひとつにもなっている。無念の死を遂げた義盛だが、和田地蔵は命名された重責を感じつつ一族の魂を供養し続けるであろう。
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。   markenopo 2019年12月6日