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趣 味・歴史

続・湘南のお地蔵さま(45)『見返り地蔵』

2020年9月7日  (江ノ電沿線新聞)

mikaeri『見返り地蔵』
横須賀市 久里浜 中島淳一
 京急久里浜駅からバスに乗りフェリー乗場近くの久里浜港で下車。潮の香を感じつつ少し進み、住吉神社前の横断歩道を渡り釣船店横の広い道に入り、四本目の狭い道を左折。百メートル程進むと左側に浄土宗傳福(でんぷく)寺がある。室町時代の創建で本尊は阿弥陀三尊。境内には地蔵堂があり、本尊の地蔵菩薩坐像は像高一二四センチもある立派な像で、衣文の流れがとても美しい。
 参道を進み正面の本堂手前右側に六体の石造りの地蔵尊が祀られるが、その右から三番目の像が六地蔵の中で畜生道に堕ちた者を救う金剛悲(こんごうひ)地蔵である。体を僅かに斜めにして立ち、右袖を前に出し左手は肩に載せた錫杖を持ち右手は掌を上に向け前に出す。しかしそのお顔は正面を向き、あたかも見返っているかのようである。六地蔵各尊の姿や持物は様々だが、この像の姿は江戸初期に作られた『諸宗仏像図彙』という書物(図像集)に載っている。「見返り」の名の付く仏像は、京都永観堂、富山安居寺の見返り阿弥陀が有名だが、この地蔵尊のように石工が図像集のモデルを忠実に表現するのは珍しい。
様々な自粛が求められる社会状況だが、お地蔵さまは必ず振り向き慈悲の心で私たちを救ってくれる。
 
 

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