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趣 味・歴史

続・湘南のお地蔵さま(47)『みなと地蔵』

2020年11月6日  (江ノ電沿線新聞)
201106 minatojizoua『みなと地蔵』
横須賀市 久里浜   中島淳一  
京急久里浜駅からバスに乗り久里浜港で降りる。少し戻ると右奥に千葉県金谷に向かうフェリー乗場があり、大きなフェリーが人待ち顔で出港を待っている。
乗場への道路の入口に三方がガラス張りの電話ボックス風のお堂があり、みなと地蔵が祀られる。海上安全を願う地元の人々により建立された。
交通安全を願う地蔵尊は数多くあるが、海上安全を願うお地蔵さまは珍しい。お顔は潮風のためだいぶ摩耗しているが、操舵室の船長のように正面をしっかりと見据える。全身に真っ赤なマントをまとい合掌して蓮台にのる。首から船舶用の白いロープで救命浮輪を腹前に飾るのが特徴で、とても親しみを感じる。
このお地蔵さまがいつ造られたのかは定かでないが、台石には「海上安全」「仏者千人衆」の文字が彫られる。横須賀市内にこの「仏者千人衆」の文字が彫られた台石にのる地蔵尊が数体あり、同じ石工の作と思われる。私にはその救命浮輪が人々をあまねく救う地蔵の愛に、そしてそのロープは不動明王などが持つ羂索(けんさく)に思える。羂索は投げ縄の意味を持つ仏の道具で、苦しむ人々をすべて救う力を持つ。
誰でも一目でその功徳が理解できる港町久里浜にぴったりなお地蔵さまである。 
 

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