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趣 味・歴史

続・湘南のお地蔵さま『お松地蔵』

2021年8月8日  (江ノ電沿線新聞)
0IMG 1835続・湘南のお地蔵さま(56) 『お松地蔵』 海老名市 上今泉 中島淳一
 
今回は海老名市のお地蔵さまを初めて紹介する。海老名駅からバスで中心学園入口に向かう。住宅地を西に進むと相模線の小さな踏切があり、その近くに田畑に囲まれるようにお松地蔵が祀られる。
 樹木や花々に彩られた土地の中央で、お地蔵さまは微笑みを浮かべ両手を胸前で重ね合わせ蓮台にのる。その頭部は僧形でなく髪を縄状に編んでいるのが特徴で、大きな舟形光背を伴う。
 この地蔵には悲しい話が今に伝わる。昔からこのあたりを流れる川はよく氾濫し大きな被害をもたらした。江戸時代の初め頃その氾濫を防ぐため大規模な治水工事が行われたが、その時にこのあたりの村の娘お松が、神への生きた捧げものである人柱となり、そのおかげで工事は順調に進んだ。村人たちはお松の冥福を祈るために地蔵尊を彫った供養塔を建てたが、いつの頃からか見当たらなくなった。そこで地元の人が平成五年、供養のために新しいこのお松地蔵を建立した。
 海老名市の歴史や文化財を紹介する「海老名郷土かるた」にも「水害から村を救ったお松の碑」の読み札で登場するが、伝説の真偽は別としても、洪水など自然の脅威に対抗するため人柱という残酷な手段を使うことを、お地蔵さまは決して望まないはずである。

記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。   markenopo 2021年8月8日