藤澤浮世絵館展示
「浮世絵と絵はがきで巡る神奈川と東海道の旅」

2022年9月23日(取材・記事:Tanbakko)
藤澤浮世絵館で「浮世絵と絵はがきで巡る神奈川と東海道の旅」が10月27日(木)まで開催されています。
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江戸時代には浮世絵で各地の名所が紹介されていましたが、明治になってからは絵はがきが各地の名所・観光地を紹介するようになりました。今回の展示は、各地の名所を描いた浮世絵と、明治から昭和までの絵はがきを展示することにより、東海道と神奈川の旅が堪能できるという趣向です。

各コーナーの展示概要を紹介します。

◆東海道儀十三次コーナー「まずは江戸時代の名所の見どころ 広重の張交東海道」

東海道五十三次コーナーは、歌川広重の張交絵(はりまぜえ)「東海道五十三次図会」が展示されています。

張交絵とは、一枚の絵の中に数種類の絵を配置したものです。今回展示の「東海道五十三次図会」は、一枚につき3~4の東海道の宿場・風景・ゆかりの物語の場面などが配されています(→「東海道五十三次図会 神奈川・程かや・戸塚・藤沢」をご覧下さい)。
 
DSC_0442東海道儀十三次コーナーには歌川広重の張交絵「東海道五十三次図会」が展示されています。
 
DSC_0445「東海道五十三次図会 神奈川・程かや・戸塚・藤沢」です。神奈川は浦島太郎の伝説をもつ浦島寺の故事が、程かやは帷子川に架かる帷子橋の橋脚が、戸塚は戸塚宿の西に位置する大坂の景色が、そして藤沢は藤沢にゆかりのある伝説の人物・小栗判官の恋人である照天姫が描かれています。
 
◆藤沢宿コーナー「歌川芳虎フィーチャーの東海道」

歌川芳虎は歌川国芳の門下で武者絵や横浜絵を得意としていました。今回は、東海道の名所を大判錦絵10枚続きで描いた大作「東海道名所図会」と、幕末の徳川家茂の上洛を源頼朝の上洛になぞらえた「東海道名所之内(通称:御上洛東海道)」から歌川芳虎の作品が展示されています。
DSC_0449歌川芳虎の東海道名所図会 東海道の名所が描かれています。
DSC_0447歌川芳虎の「東海道 神奈川」(右側)と「東海道 箱根 畑」(左側)
◆江の島コーナー「観光名所江の島:江戸時代から近代へ」

江の島は江戸から気軽に行くことのできる風光明媚な観光地として人気があり、浮世絵にも数多く描かれています。明治になって絵はがきやパンフレットが浮世絵に代わり名所を紹介する媒体として登場しました。江の島もこれら新しい媒体の題材として取り上げられました。
DSC_0453江戸時代から明治以降にかけての観光名所としての江の島の変遷を浮世絵や絵はがきでたどることができます。
◆企画展示コーナー「江戸から昭和まで 神奈川の名所と東海道の名所のうつりかわり」

企画展示コーナーでは、歌川広重の「東海道名所」、幕末の通称「御上洛東海道」、明治8年の三代歌川広重「東海名所改正道中記」の中から抜き出して展示しています。これらの作品は、およそ12年の時を隔てて描かれていて、浮世絵が描いた東海道の景色や風俗の移り変わりを見ることができます。

また、明治後期から昭和中期までの絵はがき、大正の広重と呼ばれた吉田初三郎による観光案内図なども展示されています。
DSC_0459浮世絵の描く東海道の景色や風俗の移り変わりをみることができます。
DSC_0463吉田初三郎「静岡県の大茶園 金谷牧野原鳥瞰図」
 
今回の展示では、江戸時代末期から明治~昭和へかけて、東海道や神奈川の名所・観光地が変化していく様子を浮世絵や絵はがきなどで辿ることができました。「百聞は一見にしかず」です。是非とも浮世絵館に足を運び、展示作品をみずからの眼で見てお楽しみいただければと思います。

◆学芸員によるみどころ解説が10月16日(日)に行われます。 
 ・日にち:2022年10月16日(日)
 ・時 間:11:00~/15:00~ 各回同一内容(各回30分程度)
 ・会 場:藤澤浮世絵館
 ・定 員:各回20名(申込み先着順) 
 ・参加費:無料
 ・申込み:電話またはファックス、Eメールにみどころ解説と書いて氏名、電 
      話番号、開催日と希望時間を書いてお申し込み下さい。
       電話:0466-33-0111 ファックス:0466-30-1817
       Eメール:fj-ukiyoe★city.fujisawa.lg.jp
            (★を@に替えてください)
      ※10月4日(火)午前10時から受付を開始します。


なお、藤澤浮世絵館の公式ホームページ(下記)では、展示作品の解説が展示期間中掲載されています。あわせてご覧ください。

    http://fujisawa-ukiyoekan.net/collections/top.html
 

記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。   markenopo 2022年9月23日