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善行雑学大学「ロッキード事件と日本社会」

2018年8月27日(取材・記事:Tanbakko)
善行雑学大学で「ロッキード事件と日本社会」という講演を聞きました。講師は元毎日新聞記者の板垣雅夫氏。取材の第一線で活動した新聞記者のお話しは、臨場感にあふれるものでした。
itagaki 01“警視庁取材経験がロッキード取材の下地となった”と板垣氏
 
板垣雅夫氏は、新潟支局勤務の後、東京本社社会部で主に警視庁の取材を担当。そのときに、経済部と社会部の中間領域にあたるエリアを取材で走り回ったとのこと。このいわば「すき間産業」ともいえる分野への取材経験がロッキード事件での取材でも役に立ちました。
itagaki 02ロッキード事件は戦後日本社会の暗黒の闇を大掃除した
ロッキード事件は、前首相逮捕という昭和史のなかでも特筆される大事件だったのですが、この事件の日本社会に与えた影響はどのようなものだったのでしょうか。

戦後の日本社会には、政財界官僚とフィクサー・右翼系大物、暴力団・総会屋などのブラック集団との構造的癒着関係がありました。この事件で、フィクサーや右翼系大物が逮捕されたら、戦後日本の闇の権力構造は断ち切られ、日本が真に民主主義社会になっていくきっかけになるのではないかという期待感が多くの新聞記者にありました。

板垣氏は、警視庁時代の取材活動を通して、事件もみ消しが横行して現場の捜査員が泣いているという実態に触れていました。ロッキード事件の摘発は、この事件つぶしの現況を排除し、日本の上層部に出来上がっている「悪の連鎖」を断ち切ることができるのではないかと、直感的に思ったそうです。

「ロッキード事件の摘発で、戦後の日本社会の暗黒の闇が大掃除された。その後の日本社会は、構造的悪の連鎖が断ち切られ、きれいになった。」と、この事件の日本社会に与えた影響を板垣氏は評価しています。
 
itagaki 03多くの“学生が”臨場感あふれるお話しに耳を傾けました
板垣氏は、事件を捜査する検察陣と新聞社の持っている情報が横一線に並んでいたため、取材の中から事実をつかみ新聞で先に報道すれば天下周知の事実となって、検察・警察の捜査もやらざるを得なくなるであろうということで、新聞などマスコミが当時の捜査当局に先行して刺激し続けたということをロッキード事件の特徴的なこととして述べていました。

講演では、取材チームに時々極めて正確な情報提供があったこと、情報提供にはアメリカの影を感じたことなど、ロッキード事件取材にまつわるいくつかの興味深いエピソードなどもお話しいただきました。
itagaki 04メディアの使命はどこにあるのか? 意見交換も活発に行われました
【講演を聞いて】
板垣氏は、ロッキード事件は戦後日本社会の闇を大掃除したが、40年たって、再び言論や法律、正義、倫理を無視する時代に戻る兆しがあると警鐘をならしておられました。 

ジャーナリズムの権力監視機能をより強化していくためには、発表ジャヤーナリズムに安住することなく、事実を掘り起こしていく調査報道こそがこれからの新聞に求められることではないか、板垣氏の若い頃のすき間産業を取材して歩いた姿こそが新聞記者・ジャーナリストの原点ではないか、と思いました。

「毎日新聞ロッキード取材全行動(毎日新聞社会部著)」は、板垣氏をはじめ毎日新聞記者の取材活動での奮闘ぶりが描かれています。藤沢市湘南大庭図書館に1冊蔵書されていましたので早速借りて読むことにしました。(※参考までに、Amazonでも古書として入手できます。)
 
 
markenopo 2018年8月27日