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善行雑学大学『地球物理学からみた地震等の話』

2019年11月25日(取材・記事:Tanbakko)
11月17日に開催された善行雑学大学第246回講座のテーマは『地球物理学からみた地震等の話』、講師は藤本博己東北大学名誉教授で、地球物理学、海底の地殻変動観測が専門です。

講演は、「奇跡の惑星地球が誕生したのはなぜか」というお話しから、「地震の発生と観測」、そして「今後予想される巨大地震にどう備えるか」というお話まで、広範囲な内容でした。
butsuri 01講演のテーマは『地球物理学からみた地震等の話』。広範囲な内容のお話しでした。 
 
以下、講演の概要を紹介します。

地球は、40億年以上継続して海が存在したという「水の惑星」です。さらに、人類という高度な知的生命体を生み出しました。「4000光年の範囲内には地球規模の電波を出す文明はないらしい」との研究結果も発表されていて、広い宇宙でも貴重な存在である地球はまさに「奇跡の惑星」といえます。
地球は「岩石惑星」であり、生命に不可欠なミネラルが豊富です。そして、普通はないはずの豊富な水は、木星の引力により氷の小惑星が四方に飛ばされて地球方面に飛来した結果であり、巨大な木星のおかげと言えます。
butsuri 02 1安定したプレート運動により地球表層の安定した温度が維持できました。
この奇跡が生まれた要因の一つに、地球内部の熱対流がプレート運動となって40億年以上も生命を維持する気温と海が維持されてきたことがあげられます。
大気の99%もあった二酸化炭素は炭酸塩鉱物となって海底に沈殿し、プレート運動により地下深部に沈み込み、プレートの沈み込みに伴うマグマ活動により大陸が形成されました。そして大気と海が形成され、生命が誕生しました。
butsuri 03プレートの沈み込みと地震との関係を分かりやすく説明
プレートとは、マントルの表層が海水に冷やされて板のように固くなった部分です。プレートは次第に厚く重くなってマントルの中に沈み込みます。プレート運動は、平均的には非常に遅く安定していますが、固いプレートが陸のプレートに接する境界では“ひずみ”が蓄積され、大きな地震が発生する原因となります。プレート境界地震(海溝型地震)や内陸での直下型地震は、いずれも地下の岩石が破壊されて滑る断層運動によるものです。
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 “ひずみ”が広範囲に蓄積しておよそ千年に一度一挙に放出することで超巨大地震が発生することを解明
2011年の東北沖太平洋地震(東北地方太平洋沖地震)は、予想されていた宮城県沖地震が予想外に巨大化した地震でしたが、M9という超巨大地震を初めて陸と海との観測網で捉えることができました。プレート間に蓄積される“ひずみ”は、予想された震源域だけでなく周囲にも広く蓄積されていて、およそ千年に一度一挙に放出して全域がすべって巨大地震となるという「超巨大地震発生の謎」が解明できました。
butsuri 05 1ケーブル式海底地震・津波計(S-net)を施設することにより短時間で正確な津波予測が出せるようになります。
 
また、津波防災に関する反省から、地震動の振幅を長周期の地震波の振幅に変更して津波警報を出すことや、東北沖にケーブル式海底地震・津波計(S-net)を施設して津波地震に対応するなどの改善が図られています。

ケーブル式海底地震・津波計を施設すると、地震発生15分後にほぼ正確な津波予測が可能になり、陸上のGPS網と連携すると5分後に巨大津波予報を出すことができるという研究があり、実用化に向けた取り組みが進められています。

南海トラフや根室沖にも大きな歪が蓄積されていて、巨大地震が発生する危険性が高まっています。東北沖太平洋地震によって得られた知見をもとに巨大地震への備えを準備していくことが大切です。
buturi 06 1内陸の直下型地震はいつでもどこでも起こる危険性があります
 
神戸地震(兵庫県南部地震)のような内陸の直下型地震は、いつでもどこでも起こる危険性があります。地震を起こす活断層が地下に隠れていて知られていないものが多いためです。地震補強や家具の固定、感電ブレーカーによる通電火災対策、ハザードマップと避難所の確認など「自助」努力とともに「共助」「公助」の準備も行っていくことが大切です。

最後に、神奈川県の地震について、地震本部予測では近くに危険度の高い断層はないとされていますが、関東大震災の前には70年に一度ほどM6.8クラスの地震が起こっています。平時から各種のハザードマップの確認や大地震への備えをしていくことの大切さを強調して講演を締めくくられました。

【講演を聞いて】
専門的な内容の講演でしたが、多くのスライドを使って分かりやすくお話しいただきました。いくつかの幸運が重なって地球が「奇跡の惑星」となったことがよくわかりました。生命が誕生し進化していくプロセスなどお伝えできなかった内容もありますがご容赦願います。地震学がこれからも着実な進歩を遂げることを願っています。
なお、コラム記事の中で使用したスライドの画像(4枚)は講師の藤本氏より提供を受けました。ありがとうございました。

    善行雑学大学のホームページ⇒https://zengyo-zatsugaku.jimdofree.com/
    
記事編集に際しては諸権利等に留意して掲載しております。   markenopo 2019年11月25日