江の島に咲く花
 

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江の島彩時記 

アシタバ(明日葉)Angelica keiskei
多年草 セリ科シシウド属

 アシタバは日本原産の大型多年草で、房総半島~紀伊半島、伊豆七島の太平洋岸に自生し、ハチジョウソウ(八丈草)やアシタグサ(明日草)などの別名があり、その形状は伊豆諸島の島によって多少異なるとされています。
江の島では海側傾斜地や海辺、御岩屋道傍、龍野ヶ岡など普通に観察することができます。
アシタバは薬草としてもよく知られており、古くは中国明朝時代の本草書「本草綱目」や、江戸時代の貝殻益軒による「大和本草」に紹介され、漢方や民間療法などにも用いられてきました。花期は8~10月  育環境は海岸・海辺
アシタバ(明日葉)の花と苞葉
アシタバ(明日葉)の花と苞葉
近年、ビタミン類やミネラル分を豊富に含み、また全草に含まれる黄色の組織液にはポリフェノールの一種カルコン類を含むとの研究報告があり、血栓予防や抗菌作用などにも期待が寄せられています。
健康志向の高まりの中、顆粒や錠剤、粉末や青汁、クッキーや煎餅など、アシタバを用いた健康食品は多彩ですが、やはりおひたしや天ぷらなどの料理に用いて、本来の味覚を楽しむのが一番ではないでしょうか。
アシタバは生命力の旺盛な植物で潮風にも強く、その名は若葉の成長が早いことに由来しますが、摘み取ってから次の若葉が出るのには、少なくとも2~3日はかかります。
多年草ですが2~3年で傘状の花を開き、果実をつけると本体は枯れます。
同じセリ科のハマウドに似ていますが、ハマウドの花は白くアシタバは淡黄緑色です。
もちろん開花時期も異なります。葉の艶がアシタバで若干劣り、葉形も異なります。
またアシタバの茎や枝を傷つけると黄色い汁が出ることも、見分け方のポイントになります。
アシタバの葉折れた茎から出た黄色い汁
アシタバの葉 と 折れた茎から出た黄色い汁
アシタバの茎は太く強壮で高さは50~120cm。葉は根生し2回3出羽状複葉で、ふちには不規則な鋸歯があり、やや光沢のある淡緑色。葉質は厚くて柔らかで芳香があり、全草に淡黄色の液汁を含みます。
花期は7~10月、大きな複散形花序を出し、淡黄緑色の小花を密生して傘状になり、花を支える基部には舟形の苞葉があります。
属名のAngelicaはラテン語のangelus(天使)を語源とし、小種名のkeiskeiは、幕末・明治の植物学者、伊藤圭介(1803~1901)に因んだものです。
伊藤圭介はシーボルトに師事し、リンネの植物分類法を抄訳して「泰西本草名疏」などを刊行しています。彼の著書
には「日本産物志」「日本植物図説」などがあります。
和名は今日、葉を切り取っても、明日にはまた新葉が出てくることに由来するとされています。 

【写真&文:坪倉 兌雄 2011-08-20