江の島に咲く花
 

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江の島彩時記

クサスギカヅラ(草杉蔓)Asparagus cochinchinensis
ユリ科クサスギカズラ属 多年草

クサスギカズラは本州、四国、九州、沖縄の海岸近くに自生する半つる性の多年草で、江の島では街路樹の中や海側傾斜地の藪の中、岩場などで観察することができます。
葉状に見える緑色をした針状体(葉状体)は、葉ではなく枝が変化したもので、葉は鱗片状に退化して刺状になり茎の節についています。こうして水分の蒸散を抑え、潮風に耐えて乾燥した岩場でも生育することができるのです。 国内に自生する同じユリ科の多年草にキジカクシ・雉隠(A.cochinchinensis)や、日本海側の海岸に自生するハマタマボウキ・浜玉箒(A.kiusianus)などがあり、いずれもクサスギカズラによく似ています。生育環境は海岸・海辺 花期は3~5月
クサスギカヅラ
江の島の岩場に生えるクサスギカヅラ
 キジカクシやハマタマボウキの液果は赤く熟しますが、クサスギカズラは汚白濁の液果を結ぶことから区別できます。生薬の天門冬(てんもんどう)は、クサスギカズラの根(紡錘状の貯蔵根)の皮を除いて蒸し砂糖漬けにしたもので、鎮咳、利尿、強壮薬として用いられており、また各種の抗菌作用もあるといわれています。
 本コラムでは植物をエングラー/クロンキストの分類体系によって紹介し、クサスギカズラはユリ科クサスギカズラ属と記載していますが、新しいDNA解析によるAPG(Angiosperm Phylogeny Group) 分類体系ではキジカクシ科(クサスギカズラ科とも)で紹介されています。このAPG分類体系に関しては、市販されている「DNA解析に基づく植物分類表」などを
ご覧ください。
クサスギカズラの葉状枝と実クサスギカズラの葉状枝と実
クサスギカズラの葉状枝と実    
 クサスギカズラは海岸近くに自生する単子葉植物で、木本に見えますが草本(多年草)です。根は紡錘状となり、茎の下部は木質化し上部は他物にからみつき1~2mの長さになります。枝は光沢のある針状緑色で長さ1~2cm、1節に1~3個束になって太い枝につき、一見葉のように見えることから葉状枝ともいいます。
  葉は4~5mmの刺状になって太い枝につきます。花期は5~6月、葉腋に黄白色の鐘状漏斗形6弁花を2~3個開きます。花後は球形の白い液果(直径約7mm)を結び、熟すと内部に黒い種子(写真)が見えるようになります。和名のクサスギカズラ(草杉蔓)は、蔓性の草本で、葉状枝がスギの葉に似ることに由来します。

【写真&文:坪倉 兌雄 2011-05-07