江の島に咲く花
 

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 江の島彩時記

ソナレムグラ (磯馴葎) Hedyotis biflora var. parvifolia
アカネ科オオフタバムグラ属  多年草

 ソナレムグラは関東以西の本州、四国、九州、沖縄に分布し、海岸の岩場や断崖に生育する多年草で、千葉県の銚子半島犬吠埼がその北限とも云われています。
数年前に江の島で植物観察を行いましたが、ソナレムグラに出会うことはありませんでした。
一昨年の8月に再度、天台山の海側から稚児ヶ淵に至る海辺や岩場で植物観察を行い、その帰り道、山ふたつ付近の日当たりのよい山側の崖で、偶然白い花をつけたソナレムグラを数本見付けました。生育環境は海岸や岩場 花期は8~9月
 ソナレムグラ
江の島に咲くソナレムグラの花
こんなところに何故と、一瞬、自分の目を疑いましたが、紛れもなくソナレムグラでした。
他の野草に囲まれて12cmぐらいに生長していましたが、江の島でソナレムグラに出会うのはこれが初めてのことであり
感動でした。早速、観察を終えてカメラに収めました。
和名が“磯馴葎”で、葎(ムグラ)が付くことから、群生に出会えるのではと期待しながら、付近をさらに探しましたが、
新しい発見には至りませんでした。
江の島には険しい岩場や断崖が多く、人の目の届かない場所にも生育していると考えられます。
名前の由来は「磯馴の松」と同じように、強い潮風を受ける海岸の岩場に生えることから磯馴れで、岩の割れ目や隙間を埋めるように生育することから葎と名付けられたとされています。
磯馴の付く海辺の野草には、四国や九州の海岸に分布するソナレノギク(磯馴野菊)、関東地方の海岸に分布するソナレマツムシソウ (磯馴松虫草)、伊豆半島や伊豆七島などに分布するソナレセンブリ(磯馴千振)などがあります。
ソナレセンブリ(リンドウ科)は日本固有種ですが、その生育数が非常に少なく、絶滅危惧植物に指定されています。
ソナレムグラの葉葉は肉厚で対生
葉は多肉質で光沢があり対生
茎は基部から分岐して高さは3~20cm、強い潮風を受ける岩上では約3cmと短くなります。
葉は全縁で対生に付き、密生して長さは1~2.5cm、幅0.5~1.3cm、多肉質で光沢があり、形は長楕円形又は倒卵形で柄は短く、葉の縁はやや外側に曲がります。
花期は8~9月、上部の葉腋に3~5mmの白花を1個ずつ付け、数個が群がります。花柄は短く、花冠は筒状で先端が4つに分かれるために一見4弁花に見えます。
花冠の中には4本の雄蕊と1本の花柱(雌蕊)があります。花が咲く直前のつぼみは、淡紅色を帯びて可愛らしいです。蒴果は4個で大きさは約4mmになります。
草姿が、江の島の至る所に生育するハマボッス(サクラソウ科)によく似ていますが、ハマボッスの葉は互生、花冠の先端は5裂、花期は5~6月であることなどから区別できます。

【写真&文:坪倉 兌雄 2011-09-24